では、残り2つの解法を紹介しよう。解その3である。
解その3は、途中までは解その2と同じだが、最後に正方形を作る解法である。自分が知っている形や把握しやすい形に落とし込んでいる。
最後は、解その4である。解その2では直角二等辺三角形ABCを2つ組み合わせて正方形を作ったが、4つ組み合わせても正方形になる。そして、ACは正方形の一辺となるので、三角形ABCの面積は16×16÷4=64平方cmと求められる。
わざわざ4つも組み合わせるのは非効率だと考える人もいるだろうが、同じものを組み合わせてひとつの形を作るという発想、特に「自分が知っている形や把握しやすい形」にするというアプローチは応用が利くものだ。
では、冒頭の問題の解説に移ろう。簡単な問題の解説をここまで続けてきたのには、もちろん理由がある。
11×11=121、12×12=144 ●×●=256は?
冒頭の問題の内容をおさらいしよう。
Q:AD=CD、BC=10cm、四角形ABCDの面積が64平方cmのとき、辺ABの長さは何cmですか。
それでは解説を始めよう。解法は2つ示す。
同じ図形を4つ組み合わせると、大きな正方形になる。
64×4=256平方cm
正方形の面積を求める公式は、一辺×一辺なので、
●×●=256 ●=16cm 16-10=6
図の「○」の部分が辺ABの長さと等しいので、答えは6cmとなる。
最初のポイントは●×●=256の●が16とすぐに出ないと解けないということだ。受験生の多くは11×11=121、12×12=144、13×13=169……、16×16=256といった数字が頭に入っている。算数は前述したように、いくつかの解法へのアプローチを思いつくことも重要だが、こうした「基本的な数字」をしっかり覚えておくことも合格への生命線となるのだ。
あるいは、●×●=256の一の位に注目すると良い。256の一の位は「6」。つまり、4×4=16か、6×6=36をヒントに、●は14か16のどちらかだと絞り込みを行うことができる。
この問題のもうひとつのポイントは同じものを4つ組み合わせて正方形を作るという点にある。前出の直角二等辺三角形の問題と同じアプローチである。前出の問題からの応用問題というわけである。