小学生の算数センス ●×●=256が「解ける子」と「解けない子」の差 (4/4ページ)

 図形問題を繰り返し大量演習させてもセンスは磨かれない。それどころか、ワンパターンの訓練を繰り返せば繰り返すほど、柔軟な思考力は育たなくなり、パターン化された問題やマニュアル化されたことしかできない人になってしまう。

 一方、一見異なる問題でも、実はアプローチは同一であるというのは、図形問題に限らない。ビジネスにおける問題解決への道筋でも同じだろう。異なる問題でも、同じ解決へのアプローチが適用できることは小学生のうちから教えておきたい。

 問題自体を暗記するのではなく、アプローチを引き出しにいれておくことが重要なのだ。

 「いろいろな解法を思いつく子こそ賢い」

 では、もうひとつ解法を紹介する。

 図形問題では<分ける><全体から引く><移動>のいずれかを使う確率が高い。次の解法は、図形を分けて、移動させる解き方である。

 図のように三角形ABDを移動させると、直角二等辺三角形になる(図1、2)。面積が64平方cmの直角二等辺三角形。先ほどの問題の答えと同じだ。

 あとは、次のいずれかのアプローチで長さを求めていけばよい(図3、4)。

 【図3】64×4=256 ●×●=256 ●=16cm 16-10=6

 【図4】□×□=64 □=8 8×2-10=6cm □は辺ABの長さと等しいので、答えは6cm

 今回は、簡単な問題を使って、より難度の高い問題を解くことができるような配列にした。過去の問題やこれまで習ったことを「使う」ことで、センスは磨かれる。自分には才能がないからといって諦めることはない。答えにたどり着くためのアプローチを複数考える癖をつけ、「習っていない、知らないからできない」ではなく、「習った(経験した)何と近いのか、何を応用すれば正解にたどり着けるだろうか」と考える訓練が、センスを磨く。

 今年、最難関校のひとつと言われる、筑波大附属駒場中学校に合格した生徒のエピソードを紹介したい。小学6年生の彼が質問に来た時は大変だった。

 「先生、これを教えてください」ではなく、「先生、ぼくはこう解いたのですが、ほかに良い解き方はありませんか?」だったからだ。

 いろいろな解法を思いついてこそ賢い、と授業中に口ぐせのように話し、言葉のやりとりをしていたことが、この6年生だけでなく塾講師の私の成長にもつながったのだ。

 (中学受験専門塾ジーニアス代表 松本 亘正)(PRESIDENT Online)