
利用者の食事の世話をするナンシーさん=4月、奈良県天理市【拡大】
経営する医療法人健和会は、現在16人の介護士を雇い、既に8人が国家資格を取得。厚生労働省によると、合格者の3割程度が帰国しているが、同施設を辞めて母国に帰ったのは1人しかいない。
岡田智幸事務局長は「外国人の力は必要。命を預かる現場だけに、時間がかかっても定着を目指したい」と意気込む。技能実習生も20人弱を受け入れる方針だ。研修施設も整備し、ナンシーさんらを交えて支援できる環境整備を進める。
受け入れ体制に課題
外国人労働者の紹介を手掛ける人材派遣会社、N.T.トータルケア(大阪市)は、技能実習生の来日を見越した施設から、既に介護で100件を超す求人依頼があるという。
高橋太朗社長は「外国人を受け入れる体制や準備もなく、ただの労働力としてしか考えない施設は必ず失敗する。介護業界にとって、試練の1年になります」と話した。
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■EPA追い風 広がる活躍の場
「筑前煮できたで~」。大阪市に住むフィリピン出身のヘルパー、アマリア・サンペドロさん(52)が訪問先の冷蔵庫にある食材で、素早く和食を作り上げた。「おまけに台所も拭いといたよ」。細やかな気遣いに利用者の顔がほころんだ。
日本人男性と結婚し、2003年に来日。介護の仕事は10年になるベテランで関西弁も堪能だ。体調管理やおむつ交換、掃除や洗濯を手際よくこなす。「すごくええ人」「明るくて何でも頼みやすい」と利用者に評判だ。