
利用者の食事の世話をするナンシーさん=4月、奈良県天理市【拡大】
フィリピン人は介護に向いているという声は多い。日本人と結婚し、会話能力に優れる在日フィリピン人向けの養成講座は首都圏中心に相次いで開設された。
600人以上がヘルパーの資格を取得した人材派遣会社の「キャリーアップ」(大阪市)の鍬田優一社長は、明るくて家族を大切にする国民性を指摘する。さらに、「語学に個人差はあるが、ハンディを克服しようと彼女たちは懸命に頑張る」と派遣先の様子を語る。需要は高まる一方だという。
こうした講座を受けたサンペドロさんも、当初は日本語が分からずトラブルがあった。漢字が読めずに買うべき食材が分からず、利用者とけんかになったことも。「日本人の方がいい」と言われたときは涙がこぼれた。
「素直に謝って、勉強してきた」。漢字を電子辞書で調べ、繰り返し書いて練習した。「介護の仕事はしんどいけど楽しい」。苦労があったからこそそう思える。
「鳥肌が立って涙が出るぐらい、感謝されてうれしいことがある」。日本の介護現場で働く外国人が今後も増え、その喜びを知ってほしいと話す。
今年4月には、これまで施設介護に仕事が限られていたEPAの介護福祉士が訪問介護をできるようになった。