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◆「これぐらい大丈夫っしょ!」 本番前に気が緩む学生
【調査依頼2】「学生の協調性を確認するために……」
新卒採用において定番の選考方法と言えば「集団面接」と「グループディスカッション」。コミュニケーション能力や協調性が判断できるため導入している企業も多いと思います。
実は、集団面接は待合スペースから始まっています。
人事担当者からは、面接室に案内するまでの間、学生たちが待合スペースでどのような行動を取っているか見ていてほしいと言われました。前述の【調査依頼1】と違う点は、受付対応ではなく待合スペースでの行動。学生同士でどうコミュニケーションを取るのか観察していました。
新卒採用では「面接本番になるとみんな同じことしか言わない」などとよく聞きますが、同じ面接を受ける就活生が隣にいてもスマホに没頭する学生もいれば、積極的に話しかけて場を和ませる社交的な学生まで、「本番前」と思い込んでいる学生の態度はさまざまです。
一方で、ここでも気が緩んでしまう学生がいます。「どこの業界受けてる?」「俺は●●社と……」「あそこは2次通過したよ」なんて会話が弾み、待合スペースでうるさくする学生です。ひどいときは他のお客様の迷惑になるほど騒ぐため、受付から注意したこともありました。盲点だったのは、一緒に面接を受ける、いわばライバルでもある学生に対して好意的に接しているかということも確認するよう言われたこと。たとえ静かに待っていたとしても、ツンケンしたオーラを放っていたらNGなのです。
「ちょっと騒いじゃったかな(笑)」「人事もいないし、お互い面接うまく答えられたし、大丈夫っしょ!」というのはお粗末です。企業の人事担当の方も、ためしに受付に聞いてみるといいかもしれないですね。
一方、受付にいると、ちょっとした“ドラマ”を見ることもあるんです。次回は、栄転した取引先の担当者にお礼したいという社員に、受付嬢が“ある協力”をしたお話をしますね。
【プロフィル】橋本真里子(はしもと・まりこ)
ディライテッド株式会社 代表取締役CEO
1981年11月生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。11年という企業受付の現場の経験を生かし、もっと幅広い受付の効率化を目指し、16年1月にディライテッドを設立。17年1月に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。
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【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週金曜日。