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「1社への帰属に不安を覚える」若年層
--転職を繰り返す人がいます。前向き派、慎重派で違いがありますか。
【A】今、日本人は生涯に平均3回は転職するといわれます。前向きで何度も転職できる人は、評価すべき点があるということ。ただ、役職が上がったり下がったりする人は、典型的なジョブホッパーとして評価が低い。一方、慎重な人は長期的な目線で行動するので、転職回数は少ない気がします。逆に言うと、慎重派が転職するときはその会社の先が危ないときかもしれません。
【B】私はちょっと見方が違っていて、慎重な人ほど転職を繰り返す気がします。さっきの一休さんじゃないけど、慎重な人の多くは、人に用意してもらったことを評価しながら動く。もし用意されたものに違和感があると、「自分はここには合わない」と結論付ける。一方、前向きな人は、多少嫌なことがあっても乗り越えていこうとする姿勢がある気がします。
【C】最近の傾向だと、前向きさと慎重さの両面を併せ持つ人もいます。今の若い世代は、1社に帰属するのがかえって不安だと言います。自分の可能性が狭まるかもしれないと考え、契約社員や復職できる会社を選ぶ人もいる。今は年功序列でもないし、親やシニア世代を見て不安になるのでしょう。だから、自分の可能性を広げるためにスキルや経験、人間関係やネットワークを広げておきたいと考える。そのために転職を繰り返すという人もいます。
【A】あと、会社の置かれている状況で転職せざるをえないケースも。業績が悪く「もうこの会社は5年後になくなるかも」とか、ボーナスも出ない有り様なら、やはり誰しもが考えますよね。こうなれば、慎重派も前向き派も、どちらも等しく転職するしかない。
【C】ちょっと背伸びして転職先を選べば、今よりもっと厳しくなるかもしれない。自分の身の程を知って、背伸びしないで選んでいけば、プレッシャーは少ないかもしれない。しかし、それだと物足りなくなって、やはり転職するかもしれない。成功、不成功は一概には言えません。結局は、自分にとっての正解を見つけるしかないでしょう。
「自宅パソコンで求人探し」だけじゃダメ
--転職には退社という関門がありますよね。そこで差はありますか?
【A】問題になるのは、慰留と引き継ぎです。前向きな人の多くは、次の会社に完全にマインドが移ってしまい、もはや“心ここにあらず”。会社側もいちおう慰留はするけど、無意味だから「なんで?」ぐらいしか聞かない。一方、慎重な人は会社側も止めに入ります。ネックが1つ1つ取り除かれ、最終的に残る人もいます。
引き継ぎに関しては、前向きな人は適当な資料しかつくらない。いい情報しか残されていないお客さんから怒られて、前任に「どういうことですか」と聞いても「そういえばそんな失敗があったかな」とか。でも慎重な人は、辞める前から自分がいなくなってもいいようなオペレーションを組んだり、部下に権限委譲していたり、引き継ぎ事項をまとめていたり。引き継ぎは慎重な人からのほうが圧倒的に楽ですよ。
【B】うまく会社を辞めるには、まずどこに転職するかを言わないこと。転職先についてあれこれ悪口を言う人もいますから。もちろん“立つ鳥跡を濁さず”で、今いる会社や人の悪口も言わないのが賢明。あえて言えば、慎重な人は寡黙ですが、前向きな人はペラペラ話したがるので注意が必要です。