2000年度に5位に顔を出すと、阪神のリーグ優勝を果たした2002年度には1位を獲得。それからは北京五輪の日本代表監督を務めた2008年度まで、上位10位内を毎年キープした。その後2年はランク外だったが、震災に見舞われた楽天監督就任初年の2011年度には7位と人気が回復した。もっとも、その後はランキングから消えている。
◆経営者がランクインしない「理想の上司」
長年指摘していることだが、そもそもこの理想の上司ランキングは調査方法に問題がある。実は各年代から幅広く回答を得ているのではなく、その年の4月前後に、産能マネジメントスクールのセミナーを受講した新入社員が調査対象となっているのだ。彼らはまだ正式に配属される前であり、実際の上司と一緒に働いた経験がほぼない。彼らに訊いた「理想の上司」はあくまでイメージでしかないのだ。
基本的に、ランクインするのは、芸能人、スポーツ選手である。経営者がランクインしないのも興味深い。特に芸能人においては、その人のもともとの能力・資質というよりは、映画やドラマで演じた役柄による影響が大きい。全般にわたって、調査前年のドラマや政治、スポーツの結果に大きく左右されているのだろう。
とはいえ、傾向のようなものがないわけではない。特に2005年以前と2006年以後の男性上司に注目したい。2005年以前に常連であった長塚京三が2006年には姿を消し、代わりにイチローが常連となっている。2006年はWBCが初開催された年だ。2次リーグで韓国に二度目の敗戦を喫した直後、イチローが吼えたシーンは何度もテレビで放映された。以降イチローは理想の上司ランキングの常連となっている。チームのみんなを態度・姿勢で引っ張るイチローが理想の上司と映るのだろう。一方、やさしく見守ってくれそうな長塚京三は姿を消してしまった。