だから「話したいことを話す人」は嫌われる 信頼される会話の仕方 (4/4ページ)

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 禅の教えは、人の社会全般に当てはまります。「山是山、水是水」を人間関係に当てはめるなら、自分が山なのであれば、水である相手が山になるように求めてはいけないし、自分も水になろうと頑張る必要はないということになるのです。山は山として、水は水として本分をまっとうするのが美しいのであり、自然は当たり前のようにそうしています。

 常に「水平の視線」で人を見る

 禅では、人と自分について、「人は人で絶対、自分は自分で絶対」と考えます。絶対という意味は、「いま、ここに、命をいただいて、過不足なく生きている」ということです。人も自分も、ともにそのような存在なのです。過不足なく生きている誰かに、「ここが足りないじゃないか」などとはいえないのです。

 「人は人で絶対、自分は自分で絶対」ということを意識して、誰に対しても、「水平の視線」で見るようにしてみましょう。視線を高くして見下ろせば、人は小さく見えますし、視線を低くして見上げれば、人は大きく見えます。どちらも相手を正しく見ることになりません。

 常に水平の視線で人を見ることを心がけ、そのように努めていく。それを怠らないことで、人は人、自分は自分ということが身体でわかってくる。つまり、実践できるようになるのだと思います。

 枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)

 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

 1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受賞。2006年、「ニューズウィーク日本版」にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『スター・ウォーズ 禅の教え』(KADOKAWA)、『禅シンプル生活のすすめ』(三笠書房)などがある。

 (「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶 枡野 俊明)(PRESIDENT Online)