ジョブズ氏の「5分間」はだから凄い 心をつかむ“絶品スピーチ”の条件 (4/6ページ)

 3-1、オープニング(マクラ)

 スピーチが印象に残るかどうかは、冒頭の話の内容で決まる。スピーチの達人とされる小泉進次郎氏は、ある講演会の冒頭でこう切り出した。

 「民主党へ政権が交代した選挙で、初当選したときのことです。当時、世襲した政治家への風当たりが相当強く、自民党への失望感とも重なって、演説しても話を聞いてもらえなかった。自分の名刺を破られ、演説する横で太鼓を叩かれ、わざと足も踏まれた」

 小泉氏が昔を振り返り、こんな苦労話を明るく話し始めると、聴衆は瞬時に話に引き込まれた。

 聴衆に共感してもらい、関心をひきつけるには、自身の失敗談や経験談が何より効果的だ。自分が犯した失敗談や上手くいかなかった体験談は、聴衆自身も経験があるから共感される。

 大ヒットした曲の歌詞を思い出して欲しい。「私はイケメンと付き合っているの、いいでしょ」などという詩は絶対に登場しない。自慢ネタは共感されず、逆に嫉妬や妬みを買うからだ。「何をしていても、どこへ行っても、いるはずのないそのヒトの姿を探してしまう」といった痛みが歌われるから、人は共感する。自身が経験した心の痛みを、共有できるからだ。

 もう一つ避けたいのは、使い古され、訳知り顔に思われやすい、「グローバル」「ボーダレス」「ネットワーク」といったカタカナ言葉をつかうことだ。本論を話す前に、聴衆にありきたりな内容だと誤解されてしまう恐れがある。

 3-2、本論(スピーチで最も伝えたい内容)

 スピーチで選んだテーマについて語るのが本論だ。最も伝えたい内容を、ここで話すことになる。伝えたい内容が複数あるときは、前もって「今日みなさんにお話したいことが、3つあります」といくつ話すかを前もって伝えておく。こうすれば、聴衆は話が3つあることが先にわかるので、集中力を維持できる。3つの話には、それぞれタイトルをつけ、順に説明していく。

 話したい内容が3つ以上あったら、内容を絞り込んでよりシンプルな内容にまとめ上げよう。本当に伝えたいことを明確化できるように、足し算でなく、引き算にして構成する。

もう一つ重要になってくるのが、スピーチの全体時間