転職市場、崩れた“年齢の壁” 50歳以上を積極採用、能力重視進む (1/4ページ)

 人手不足を背景に活況な転職市場で、中高年層の存在感が高まっている。就職・転職サービス大手のリクルートキャリアによると、2017年度の50歳以上の転職決定数は09年度の1.8倍以上、16年度比でも2割超の大きな伸びだという。若手よりも人件費がかかる、新たな環境への適応性が心配など、長いキャリアが敬遠されたかつての状況は一変。年齢にとらわれずに能力を持った人材を積極的に獲得する企業が増え、転職の“年齢の壁”が崩れ始めた。

パソナで行われている中高年人材の面談の様子=東京・大手町

パソナで行われている中高年人材の面談の様子=東京・大手町

 優先・戦略的雇用に

 大手ゼネコンでビル建設の施工管理責任者をしていた55歳の男性。年齢的に現場を離れなければいけないが、定年まであと5年でさらに上のポストも望めないと悩んでいた。思い切って転職サービスに相談したところ、社員100人規模の地方建設会社に執行役員として迎えられた。年収は若干下がったものの希望通り現場で活躍できる仕事で、70歳までの雇用も約束してくれたという。

 この男性を仲介したリクルートキャリアで転職サイトの編集長を務める藤井薫氏は「自動運転技術への対応を急ぐ自動車業界だけでなく、物流や衣料、ネット通販業界も急速に事業モデルの変革を求められ、年齢に関係なく能力のある人材の獲得に動いている」と指摘する。

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