転職市場、崩れた“年齢の壁” 50歳以上を積極採用、能力重視進む (4/4ページ)

 パソナグループが展開する「パソナ顧問ネットワーク」はその取り組みの一つ。大手企業などで管理職を務めた人材が退職後、同社に登録。同社の業務委託の形で、スタートアップ企業に「顧問」として助言するサービスだ。週1~2回、資金調達やIPOのノウハウ、リスクマネジメントなどについてアドバイスし、パソナの契約を離れ、常勤顧問になるケースもあるという。

 サービスの導入企業は、昨年5月末の1000社が1年で1500社まで増加。「顧問」の登録人材も3500人から同5000人になり、「毎月70~100人が新たに登録している」(梅原あい子シニアマネージャー)と裾野が広がる。

 パソナグループは、ミドル・シニアの転職支援に特化した「パソナマスターズ」も4月に設立した。

 大手企業が株主や賛助会員になり、希望退職者らの転職仲介をしていた日本雇用創出機構と、定年退職者のためのマスターズ人材サービスを統合。本来の転職仲介だけでなく、40代後半から50代社員を対象にした企業の社内研修でのプログラム提供などを通じ、ミドル世代のセカンドキャリアへの意識付けを支援する。

 「50歳以上は採用しない」といった年齢の壁が崩れ、競争力確保のため、能力本位で人材を獲得する流れが定着すれば、転職市場はさらに活性化する。人口減少と高齢化が進む中での働き方改革の推進や、生産性向上に貢献すると期待される。(大塚昌吾)