南海トラフの経済被害試算、国家予算の14倍 食い止めに38兆、対策どうする (3/4ページ)

地震で水道管が破裂し陥没した道路=18日、大阪府高槻市
地震で水道管が破裂し陥没した道路=18日、大阪府高槻市【拡大】

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートによると、高度成長期の昭和40年度の一般歳出に占める公共事業関係費の割合は18.8%に上ったが、近年は6%程度に過ぎない。

 対照的に割合が大きくなっているのが、高齢化で増える社会保障関係費と国債費だ。

 40年に14.1%だった社会保障関係費はいまは一般歳出の3割を占める。国債費は0.6%から約25%に拡大した。医療費の増大に歯止めがかからないうえ、高度成長期以降に発行した国債の償還費が積み重なってきているためだ。

 減災対策の覚悟

 土木学会は、南海トラフ地震の30年発生確率を踏まえて「15年以内」に対策をしなければ、減災が間に合わせない確率が50%以上に上昇すると分析する。

 対策をさらに加速していくならば、予算確保の手立てが不可欠だ。

 民間資金活用による社会資本整備(PFI)の活用は、予算の節約につながる有効策だ。ただ民間事業者や金融機関も採算性が見込めないと投資には踏み込みにくい。料金設定の自由度を上げるなど、投資をしやすい環境を整える必要がある。確実な手段で考えれば、社会保障費などの予算を抑制して公共事業にあてるか、国債増発、増税で賄うことになる。減災対策の充実は、どこまで巨大災害への危機感を持ち、痛みを受け入れられるかの覚悟が左右する。

国民に必要な“理解”