関西大学社会安全学部の河田惠昭(よしあき)特別任命教授(土木工学)は「巨大災害が起きると日本に重大な被害があることは多くの人が認めている。ただ防災を含めてインフラ中心の公共投資が、生活向上につながっているとの実感はない。国民のこの関係に対する理解がないと、公共事業費は伸びないだろう」と指摘する。
都市部の環状道路のように未完成のまま長く放置され、メリットがみえにくい公共事業がある。行政間の連携は不足し、経済効率の悪い無駄な公共事業も存在していることなどを問題視している。
河田氏は「やるべき優先順位が妥当なのかをチェックし、事業の必要性の説明を国が尽くさないと公共事業への理解を得られない。次の世代にどういう国土を残していきたいのか、国全体での議論をもっと深めるべきだ」と話す。