記者会見のNGワード「イ・ゴ・オ・シまい」から見る「炎上が炎上を呼ぶ」理由 (3/5ページ)

  • 田中優介『スキャンダル除染請負人』(プレジデント社)

 記者会見は論争の場ではない

 一方、同じ日に吉田茜選手が所属するチームが開いた記者会見は、広報担当者や検察出身の顧問弁護士が記者に対し名刺の提出を求めて入室制限したり、質問や会見時間を制限したりするなど、最初から対立ムードでした。

 さらに監督が高圧的な態度で、「吉田茜は、何もやましい事はしておりません。皆さん、勘違いしないで下さい!」と不倫の事実を全否定します。

 しかし、これはマスコミにとって格好の餌食でした。なぜならマスコミは「嘘を追いかける習性」があるからです。

 「熊野さんは裁判には強い弁護士です。しかし、マスコミ対策はうまいとは言えません。特に、謝罪が必要な会見は。法廷で検察と闘うように、記者会見でもマスコミと闘ってしまうんです。依頼人を守るために、法廷では無理な主張もします。被害者を傷付けるような言葉が有効なケースもありますから。しかし、記者会見では逆効果になってしまいます。論争の場ではなく、許しを得るための解毒の場だからです」

 沙希が言うように、記者会見は論争の場ではありません。しかし、多くの場合、殺伐とした雰囲気になりがちです。

 「それにしても、誰が考えたんでしょうか? あんな会見をやるなんて」

 沙希は笑いながら答えた。

 「誰がというよりも、人は誰でも危機に遭遇すると、二つのトウソウ本能に支配されるの。『闘う闘争本能』と『逃げる逃走本能』。今回は、監督も顧問弁護士も闘うタイプだから、そちらに支配されたんでしょ」

 「闘争」と「逃走」、どちらも正解ではありません。マスコミの本質、本当に謝罪すべき対象は誰なのかを冷静に考えましょう。

NGワード「イ・ゴ・オ・シまい」