【IT風土記】九州発 新鮮な日本産の青果物を低コストで海外に 革新的輸出システム構築目指す (2/4ページ)

 「航空便を利用するのは、鮮度のいい状態で輸送するためだが、1つの品目を1つのコンテナで満載するほど現地の需要がないことも背景にある。今は富裕層向けに販売しているが、価格が下がり、中間所得層にも日本の青果物の良さを認知してもらえば、輸出がさらに増えることが期待される」と九州大学大学院農学研究院の内野敏剛特任教授は指摘する。

多温度帯コンテナについて説明する九州大学大学院農学研究院の内野敏剛特任教授

多温度帯コンテナについて説明する九州大学大学院農学研究院の内野敏剛特任教授

 内野特任教授は、農業や食品に関する研究を行っている国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)を中心に組織された産学官連携のコンソーシアムのメンバーの一人。九州大学のほか、岩手大学、福岡・熊本・鹿児島の3県の農業研究機関、NECソリューションイノベータ、デンソー、西日本鉄道、九州農産物通商、JA筑前あさくら、JAやつしろ、JA指宿の3農業協同組合などが参加。生物系特定産業技術研究支援センターの支援を受け、日本産の青果物の輸出拡大につながる革新的な低温物流システムの研究・開発に取り組んでいる。

 混載を実現する冷蔵コンテナ

 コンソーシアムの取り組みは大きく2つの柱に分かれる。一つは、青果物の混載が可能な冷蔵コンテナの開発。もう一つは広域の産地を連携させた輸出システムの構築だ。

 新たに開発されたコンテナは、冷蔵コンテナの内部を2つの部屋に仕切り、1つのコンテナで2つの温度帯に設定できるようにした。さらに青果物の鮮度に大きな影響を与えるエチレンガスを分解する装置も備えられている。「青果物には、それぞれ鮮度維持に適した温度がある。その温度より低温だと劣化が急速に進んでしまう。品目によってはエチレンガスという植物ホルモンを発生させ、他の品目に悪影響を与えるものもある。こうした障害を極力排除したのが新たに開発したコンテナの大きな特徴だ」と、内野敏剛特任教授は説明する。

それぞれの青果物の適性に合うよう多温度帯コンテナに積み込む福岡県農林業総合総合試験場のスタッフら

それぞれの青果物の適性に合うよう多温度帯コンテナに積み込む福岡県農林業総合総合試験場のスタッフら

コンテナの実用性を試験