西日本豪雨で被災した思い出の品物直す 岡山の絵画修復士らが無償で活動 (2/3ページ)

 今回のボランティア活動のきっかけは、西日本豪雨の報道だった。娘と孫を亡くした広島県の男性が、孫の描いた絵を持って戸外で立ちすくむ姿をテレビで見て、心を突き動かされた。「私たちに今、何ができるのだろう」

 斎藤さんは兄が阪神大震災で被災。今村さんも熊本県出身で、「熊本地震のときに何もできなかった」という後悔が背中を押した。

 2人は7月11日から岡山県倉敷市真備町(まびちょう)を訪ね、調査を始めた。そこでは生活再建のために片付けが優先され、家庭にあった絵画や写真など、泥にまみれた思い出の品々が次々に処分されていく光景を目にした。

 「復旧が終わって日常に戻ったとき、思い出の品が手元に残っていれば、きっと心の支えになるはず」(斎藤さん)とホームページで修復依頼を募集すると、これまでに200件近い依頼が寄せられた。「結婚した娘の写真をどうか直して」「大切なおばあちゃんの形見の絵を元に戻してほしい」-。電話口の声はどれも涙ぐみ、切実さに満ちていたという。

「依頼の品には一つ一つにエピソードがある」