市販のカメラをフロントガラスに取り付け、時速70キロ以下のスピードで走行し、路面の画像を撮影する。撮影した動画はNECの最先端のAI技術で解析し、ひび割れの比率、わだち掘れの深さを評価する。ひび割れ率が0~20%なら「I」、20~40%なら「II」、40%以上なら「III」といった具合に損傷の評価を三段階に区分。国土交通省が2016年に策定した舗装道路の修繕指針「舗装点検要領」の診断区分に沿った評価を行う。
「ディープラーニング」技術で学習
ひび割れやわだち掘れのAIへの学習には「ディープラーニング(深層学習)」という技術が活用されている。人間の脳神経細胞(ニューロン)の仕組みを模したニューラルネットワークというシステムを多層的に用いることによって、コンピューターがより高度な学習をできるようにした技術だ。
初期のAIへの学習では、画像を認識するための特徴をあらかじめ抽出する必要があったが、ディープラーニングは、事前にお手本となる画像などのデータを学習させるだけで、自ら判断モデルを生成するので、短期間に高精度で判断ができる。
このシステムを構築するのに福田道路が集めたひび割れやわだち掘れの画像は約6万枚にも上る。試作のシステムで道路を点検し、判定ランクのずれや、判定する必要があるのに判定できない損傷があれば、同様の損傷がある道路を撮影してAIに学習させた。NECの技術陣と何度もやりとりし、試行錯誤を重ねながら精度を高め、実用化にこぎつけた。