2012年に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故が発生。これをきっかけに道路を管理する自治体などにトンネルや橋梁の点検を5年ごとに実施するよう義務付けた。さらに舗装道路にもその対策を広げ、「舗装点検要領」を策定したが、100万キロを超す道路を管理する都道府県や市町村は財政難に悩まされ、なかなか本腰を入れて、道路点検に踏み込めないのが実情だ。
「舗装点検要領」策定当時の国土交通省の資料をみると、舗装道路の点検を実施している自治体の割合は都道府県で8割に上る一方、日本の道路全体の8割以上を管理する市町村の割合はわずか約2割に過ぎなかった。
「市町村の多くは財政状況が厳しく、道路修繕の費用を捻出できなくなっています。また、高齢化を背景に熟練した技術者もリタイアするなどして、点検などの人員を投入できなくなっているのです」。対馬技術部長はこう指摘する。