人手確保に悩む農家と働き手のニーズをマッチング 日本を縦断する「アルバイトリレー」も (4/4ページ)

全国アルバイトリレー

 そんな中、好待遇で迎え入れる余裕のない小規模農家にとっても救いの手となる取り組みが始まっている。繁忙期が異なる地域が連携し、アルバイトをリレーで雇う方式だ。

 28年からはJAふらの(北海道)とJAにしうわ(愛媛県)、JAおきなわ(沖縄県)が協力し、4~10月は北海道でメロンやスイカ、11~12月は愛媛でミカン、12~3月は沖縄でサトウキビの収穫に携わってもらおうという試みだ。いわば渡り鳥のように収穫期の土地に移動して働く仕組みだ。

 また九州では今月から、福岡と佐賀、大分のJAなどが連携し、収穫期の農家に作業員を紹介する事業がスタート。学生や主婦ら約200人が登録し、県をまたいで汗を流しているという。

 アルバイトが通年で働ける上、農家も労働力を安定確保できる点でメリットは大きい。JAにしうわ農業振興部の大杉充(みちる)次長は「単純に人手不足を解消するだけでなく、経験を積んだ質の高いアルバイトが確保できている」と強調する。即戦力ゆえ農家の評判も上々で、全国から多くの農業関係者が視察に訪れるなど注目を集めている。

 ただJAにしうわなどでは、3地域のうち1地域や2地域での応募も可能で連携もゆるやかなため、昨年リレー形式で列島を縦断したのはまだ30人程度にとどまるという。大杉次長は「通年雇用でアルバイトを確保する仕組みをさらに検討したい」と話す。