こうして各種データを見せ、この企画に300万円を投下させることを阻止するのである。先方の「わかってる人」が納得した場合は「私がこうして今日来たことについては山田には言わないでくださいね。私の上司とはいえ、お客様に提案する内容が若干頓珍漢なところがありまして…」と言ってしまう。
かくして次の打ち合わせでは、この300万円の「インフルエンサーマーケティング」は却下されることとなる。山田氏がテキトーな提案をすることはクライアント企業内では周知の事実となり、若手の自分を指名で仕事が来ることとなる。
とにかく無能上司だと判断した場合は、越権行為と言われるかもしれないが、クライアントと直でやり取りをしてしまう。そして、自分が指名されるだけの人間になってしまおう。だが、提案する内容はキチンとした根拠がある、無能上司以上のレベルのものでなくてはならないシビアさはあることを覚えておきたい。
【プロフィル】中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。
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【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。