--「何かあったら責任は取るから」という言葉は素晴らしいですね。以前『半沢直樹』というドラマで「部下の手柄は上司の手柄」というせりふが話題になりましたが、日本の大企業では縦割りの弊害がいまだに残っているように思われます。なかなかそんなことを言ってくれる上司はいないですね。
私にとっては「それが普通かな」という感じです。結果、その育成も兼ねてやってきた結果が出たので、「ドラクエXI」の海外版や、ニンテンドースイッチ版も若いプロデューサーに一任しており、今に至ります。
やる気とは「長時間携わること」ではない
--後任選びの際には、何を重視しているのでしょうか。
能力的なものも大事ですが、一番は「やる気」ですね。ただ、「やる気」というのは、「長時間携わる」という意味ではないのです。客観的に見て、限られた時間の中で「上手に時間を使えるかどうか」、ここが重要です。
「やる気」が無い人はだらだら仕事をすると思うんですよね。限られた時間の中で最適な答えを出し続けられる人は、「やる気」があるから、それができるのではないでしょうか。ですから、時間の使い方が優秀な人は、「やる気」もあるし能力もあると判断しています。
特に、クリエイティブな仕事というのは、頭の中で新しいものを考えているだけで、実際には何も実行していないのに、「俺は仕事をしている」と思いがちなのです。もちろん0から1を生み出す作業は、とても大変です。ですが、有限な時間の中で自分のすべきことをきちんと整理ができて、アウトプットを出し続けられる人はやっぱり優秀だと思いますね。
--齊藤さんは「出たがりおじさん」とも呼ばれているそうですが、実は組織全体のことや、次世代のことをとても深く考えていらっしゃると思いました。ここまで若手の話が出ていましたが、ご自身でチームを作るときに、何を大切にしていらっしゃいますか。
一番大切にしているのは「和」ですね。「和」が乱れるといいものにならないからです。やっぱり向いている方向がバラバラだと、どうしても最終的に形になるものが面白くならないのです。
私はもともとエニックスという会社にいたのですが、03年にスクウェアと合併後には、モバイルゲームに携わりました。当時NTTドコモによるi-modeアプリ版の「ドラクエI」と「ファイナルファンタジーI」に携わったのですが、そこで初めて旧エニックスと旧スクウェアのスタッフがまぜこぜになったんですね。
スクウェアには、もともと自社でゲームを開発する文化があり、社内に優秀な開発スタッフが大勢いました。一方のエニックスは、社内にいるのはプロデューサーだけで、開発は社外のスタッフに外注していました。
ニンテンドー3DS版「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」冒険の書の世界(c)2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
つまり合併によって社内と社外のスタッフが初めて出会ったわけです。このとき、毎日のようにスタッフを飲みに連れて行ったり、飲めない人はバスケットボールを一緒にやったり、人気ゲーム「モンスターハンター」を皆でやったりしながら、チームを一つにまとめていこうとしたのを覚えています。
文化の違いを乗り越えるために
--昨今ではM&A(合併・買収)を経験した企業も増えていますが、よく企業文化の相違が問題になります。異なる文化を持った人たちをまとめるときに、何が大切だと思われますか。