「学習力」で新時代のキャリアアップを! 経営者JP・井上代表に聞く (2/5ページ)

――これまでうまくやれた人ではなくこれからうまくやれる人ということですね

 「僕が一つトリガーとして思うのは『学習力』なんです。今までにとらわれずに、次はどうなんだろうって考えて、学んで試していける力が大事です。グーグルで人事トップだったラズロ・ボック氏が著書で、ある小売り業者の幹部との対談を振り返っています。業態も在籍する人材も違う。グーグルは博士号を持った人材がごろごろいて、一方は高卒とかの地元の人たち。対談して違いが浮き彫りになるだろうと思ったら、大事にしていることは全部一緒だったというんです。社員の活かし方とか教育とか。グーグルがキーワードに挙げているのが『ラーニングアニマル』で、貪欲に知識なり経験を、興味関心をもって新しいことを学んでいく人材が大事だと。採用の際に、経験をまったく見なくていいとは思いませんが、経験だけみて採るのはどうかなとも思うんです。極論すれば、過去の実績を全部捨ててでも、新しいことを学べそうな人が、僕はこれからの時代、シニアクラスでも非常に大事だと思っています」

――産業構造、需要、消費者のニーズ自体の変化も影響しているのでしょうか

 「そうです。実は世の中のほうが変わっていっている。同じ業界でやっているにしてもこれまでやってきたやり方を繰り返すのが正解ということはかなり少ないと思う。トヨタ自動車さんだって今みたいな形でクルマを売るのではもうダメだと思っている訳でしょう。だから豊田章男社長も『モビリティ・サービス・カンパニーを目指す』と宣言されたんです。これからは自分たちが作って貸していくようなモデルに10年ぐらいで一気にいくと思うんです。これまでのように僕らがディーラーに行っていろいろ試してみてこの車を買いますというモデルから、トヨタ自体の店舗やトヨタが納入している先で今日はどの車がいいかなとか言って借りて乗るみたいなサービススタイルに変わっていくんでしょうね」

 「音楽だってもともとはレコード、CDというパッケージ売りだったものを、(アップル創業者の)スティーブ・ジョブズがまずアルバムをばらして単品売りに変えた(※携帯音楽プレーヤー『iPod』の登場)。個人的にはアルバムとかライナーノーツにはいまだに愛着やこだわりはあるんですけど(笑)、その後ブロードバンド、3G、4Gの普及と共に、今や聞き放題が当たり前ですよね。だからいかに再生されるか、仕掛けていくのがアーティストの仕事だったり、音楽会社もいかにいろんなところで検索して聴いてもらうかというのがビジネスだったりする。今までは曲を買ってもらうためにプロモーション用に楽曲提供して番組や店先で掛けるのを許可するといったかたちが、まったく構造が逆転している。ほんとにどのビジネスも、これまでの売り切り型とそのためのプロモーションというかたちから逆転して、込み込み使い放題なので定額一括を一定頻度(月額など)で払ってくださいというかたちにどんどん移行しています」

「働き方改革」のあるべき姿とは?