「学習力」で新時代のキャリアアップを! 経営者JP・井上代表に聞く (4/5ページ)

――そうすれば長時間働いた人も報われますね

 「ちょっと思ったのが、トップアスリートのトレーニングなんですね。昔のトレーニングはまさしくブラック企業の働き方みたいで、寝ずにとにかく素振りするみたいな感じだった(笑)。でも今は、すごく科学的になっていて、徹底的にやるけれども、運動生理学的にとか人体の骨格構造的に見て、どのような運動機能を向上させたいからどの部分にどのような負荷と頻度を掛けるべきかとか、体を壊してはだめだから過重負荷にならないようにどのくらいのトレーニング頻度が適切かを考えてやっている。ホワイトカラーの働き方も同じようにしたほうがいいと思うんです。適切な業務負荷を与え、その中で欠けているものをOJT(日常業務のなかで行う教育訓練)、OFF-JT(通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練)でトレーニングしていく。最も望ましい業務上のパフォーマンスを発揮できるような業務負荷と休息のペースや頻度を管理する、とか。こうした観点からの、望ましい研修とか教育、働き方のペースや業務時間を明らかにしていくべきだと思うんですよね」

――ビジネスパーソン自身はキャリアアップのため、より良い仕事をしていくために何を意識して行動していくべきでしょうか

 「最初に話した『これからうまくやれる人になる』ということですね。現状としては必ずしも次の時代の成功法とか次の時代の新しいものはこういうものですよってパターンが見えているわけじゃないですよね。なので、キャリアアップのためには、いろいろな物事と「出会う力」を持った方がいいと思う。出会うというのは、人もそうだし、情報とかもそう。出会うにはどうすればいいかというと、自分が動くということとオープンマインド。じっとして降ってきてくれることもあるけど、基本的には自分のほうからいろんな所に出ていくということ。もちろんネットでもいいのでいろんな情報に触れる。そういうことが一番大事だと思います」

 「『プランド・ハップンスタンス・セオリー』(計画的偶発性理論)というのがあります。スタンフォード大学のクランボルツ教授らが提唱したキャリア形成に関する理論です(※個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定されるが、その偶然をできるだけ計画的に発生させてキャリアを良いものにしようという考え方)。先ほど述べたような行動をとっていると、あら不思議、運命の人と出会ったり、自分の天職に巡り合ったり。やや神秘めいていますが、ちゃんと実証的な心理学として研究されていて、これは本当だと思うんです。そのプランド・ハップンスタンスを起こすために、クランボルツは、『好奇心』『楽観性』『柔軟性』『持続性』『リスクテーク』の5つを挙げています。いろいろ興味関心を持って、前向きに柔軟にいろんなものに触れていく、そういう行動を続けるということだと思うんです。あとやっぱり物おじしないチャレンジしてみるということだと思うんですよね」

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