家計簿アプリの場合、必要なデータを運営会社がユーザーになり代わり、口座内データにログインして、取得してくるのが従来のやり方でした。ユーザーはパスワードなどのログイン情報を運営会社に渡さないといけませんから、いくらセキュリティーが良いと謳われていても、不安感を抱くのは仕方ありません。もし無条件で、そうしたデータ庫をオープンに活用できるAPIを銀行が提供してくれたならそれほど素晴らしいことはないのですが、さすがにそう簡単ではないようです。ただ、昨年6月の改正銀行法施行で、銀行に「オープンAPI」を導入する努力義務が課されたので、今後の動きに注目です。
銀行が「家計簿アプリ」を警戒している?
ここから先は推理でしかありません。でも、こんなことは推察できます。家計簿アプリというのは、顧客の資産や資金移動に関するすべての情報を集められる大きな可能性を秘めている。
A銀行とB銀行とがあったとして、A銀行もB銀行も自分たちと主に取引している顧客A´さんのこと、B´さんのことはよく知っているし、データも持っています。でも、A銀行は、B銀行の顧客B´さんのことは全く知らない。B銀行もA´さんの情報は何も持っていない。しかし、A´さんはA銀行に1000万円預けているけど、B銀行には1000円しか預けていない、だとしたら…。A銀行にとっては「お金のある程度ある顧客」に見えても、B銀行からして見たら「お金がない顧客」になってしまう。つまり、1顧客の預金情報は分断されてしまっているわけです。1口座持っているから、すべてを知っているというわけではないのです。
ところが家計簿アプリというのは、もし銀行側が持っている情報をすべて集められたら、その点ではとても強力な存在になります。しかも銀行だけではなく、証券会社のデータベースなどからもデータを集められたりしたら、すごいことになる。A銀行、B銀行、C証券、D証券などの情報が家計簿アプリに一堂に集められるなんていうことも容易に想像がつくわけです。つまり、顧客情報の全容を掴んでいるのは家計簿アプリということになり、それこそ既存の銀行や証券会社などにとっては脅威にさえなってしまうわけです。
だからこそ銀行としては、そうやすやすと顧客のお金の情報を渡したくはない、そんなことを考えるのも無理はありません。フィンテックの1アプリ運営会社に経済圏を築かれたくない、とそんな推理は成り立ちます。
しかも、今のキャッシュレス決済の波は、家計簿アプリのビジネスを後押ししています。
「2次元バーコード決済」と家計簿アプリの関係
キャッシュレスで使われるQRコードなどの2次元バーコード方式は、家計簿アプリにとっては、とても重要な役割を担っています。えっ、どうして、2次元バーコード決済が家計簿アプリと関係あるの?と思った読者の方も多いかもしれません。