フィンテック群雄割拠~潮流を読む

「家計簿アプリ」使ってますか?フィンテックのビジネスへの広がり (4/4ページ)

甲斐真一郎
甲斐真一郎

 LINEは、昨年11月にみずほフィナンシャルグループと一緒にLINEの銀行「LINE Bank」の設立を発表しています。この発表を見て僕は、この銀行が肝なんじゃないかと考えています。2020年の開業に向けて準備が進んでいるLINE Bankには、企業の給与の振り込み用口座とか、かなりの数のユーザー情報が集まるのではないかと考えています。そのデータが集まった後、LINEならさまざまなサービスを横串で効率良く展開していきやすい。その意味から、LINE経済圏は強力だと思います。こうしたことを考えると、LINE家計簿にはビジネスとしてのポテンシャルの大きさを強く感じます。

 家計簿アプリの運営会社の動きに着目するなら、「次なる一手」を見るとどの方向に向いているかが浮かび上がってくる。それこそ、最初に紹介したマネーフォワードの子会社、マネーフォワードファインが昨年11月末に貸金業者登録を完了したのも、ビジネスの次なる一手であることが予想できます。すると、彼らが発表している通りに、会計・請求書データを活用した融資サービスとして中小企業の資金繰りをサポートするということに併せて、「もしかしたら、彼らはクレジット信用スコアを上げた人への少額短期の融資ビジネスを展開していくのかもしれないゾ」などと妄想を巡らせることができるのです。

 今後、家計簿アプリと銀行関連サービスがどのように近づいていくのかとても楽しみです。どんどん便利な時代になっていくことは間違いないようです。

 以上、今回は、家計簿アプリを題材に、筆を取らせてもらいました。また次回お会いしましょう。次回は「フィンテックと送金」について語りたいと考えています。

甲斐真一郎(かい・しんいちろう)
甲斐真一郎(かい・しんいちろう) 「FOLIO」代表取締役CEO
京都大学法学部卒。在学中プロボクサーとして活動。2006年にゴールドマン・サックス証券入社。主に日本国債・金利デリバティブトレーディングに従事。2010年、バークレイズ証券に転籍し、アルゴリズム・金利オプショントレーディングの責任者を兼任する。バークレイズ証券を退職後、2015年12月に、手軽に資産運用、株式投資を楽しめるフィンテックサービス「フォリオ」を提供するオンライン証券会社「FOLIO」を設立。フィンテックの旗手として大きな注目を集めている。次世代型投資プラットフォーム・サービス「フォリオ」は、「ユーザー体験」「操作感・表示画面」に着目されており、テーマ投資という形で誰もが簡単に株式投資を楽しむことができるように設計されている。FOLIOはお金と社会にまつわる情報を発信するオウンドメディア「FOUND」も運営している。

【フィンテック群雄割拠~潮流を読む】は甲斐真一郎さんがフィンテックと業界の最新事情と社会への影響を読み解く連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら

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