新線探訪記

"社運をかけた大事業" 相鉄・東急「新横浜線」開業で何が変わるのか (1/3ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 首都圏の新線計画が大きく動き出している。「陸の孤島」とも呼ばれる鉄道が走っていない地域に新たな路線が開業すると、その街の景観は一変する。2005年に開業した「つくばエクスプレス」(TX)沿線では、マンションや商業施設建設などの大規模開発が続き、地価の上昇につながった。新線の開業によって街や人の流れはどう変わっていくのか。鉄道の新路線が計画されている現場を訪ねる「新線探訪記」。1回目は2022年度下期に開業予定の相鉄・東急直通線(相鉄新横浜線・東急新横浜線)をレポートする。

新線開業と街づくり

 東急東横線・目黒線と横浜市営地下鉄グリーンラインが乗り入れる日吉駅(横浜市港北区)。慶応大学日吉キャンパスのイチョウ並木に向かって右手、綱島街道をしばらく進むと、東横線の上り線と下り線の間から地下へと潜っていく線路と坑口が見えた。「シールドマシン」と呼ばれる円筒状の大型掘削機で、住宅地の下を横切るように掘り進む綱島トンネルの建設現場だ。

 「開通に向けて工事は順調に進んでいます。新駅ができますので、今後は駅周辺の開発にも力を入れていきます。魅力的なビジネスチャンスになればと思っています」と東急電鉄の担当者。東急の実質的な創業者、故五島慶太氏が「総合的な経営で沿線開発を進める」との方針を打ち出して現在の東急グループの礎を築いたように、新線開業と街づくりは今も切っても切り離せない関係にある。

 相鉄・東急直通線は、日吉駅と相模鉄道(相鉄)の羽沢横浜国大駅(同市神奈川区)を結ぶ約10キロの路線。東急が営業する日吉-新横浜(仮称)間が「東急新横浜線」、新横浜(同)-羽沢横浜国大間は「相鉄新横浜線」と命名された。

「社員みんな喜んでる」

 東急が「ビジネスチャンス」と期待する新駅は2カ所に設置される。まず日吉の次の駅、新綱島駅だ。

 すでに新駅の名称は「新綱島」に選定され、駅名から(仮称)の文字が取れた。駅名の公募では新綱島に次いで「綱島温泉」が多かった。「東京の奥座敷」と呼ばれ、多くの旅館が軒を連ねた綱島温泉。現在は旅館に代わって商店や住宅が密集し、駅前は道幅も狭く、慢性的な渋滞が発生している。綱島駅の東側では新駅の開業に合わせて土地区画整理と再開発が行われ、バスやタクシー乗り場も整備される予定だ。

 「相鉄線沿いに住んでいる人は、一度横浜駅まで出て、ブルーライン(横浜市営地下鉄)に乗り換えなければならない。それが一本で行けるわけですから相当便利になるでしょう。相鉄を使っているうちの社員はみんな喜んでますよ」

 そう語るのは、新横浜にある情報通信会社に勤務する横浜市鶴見区の男性会社員(28)。東急線方面から新横浜へ向かう場合、菊名でJR横浜線に乗り換える必要がある。だが、東急線ユーザーよりも不便を強いられてきたのが相鉄線ユーザーだ。例えば、相鉄線の西谷駅と新横浜駅の間は直線距離で6キロ弱だが、鉄道を利用する場合は必ず横浜駅で地下鉄かJR線に乗り換えなければならない。このため、8キロ以上も余分に迂(う)回する必要があった。

 それだけに、相鉄の担当者は「新横浜線には非常に期待しています。乗り換えなしで新横浜へ行けますし、東京へも行ける。利便性が上がります」と声を弾ませた。

 新線の開業で相鉄線の二俣川(横浜市旭区)から新宿までは最速44分で結ばれることになる。そして何より、直通効果が顕著なのが新横浜へのアクセス。大和(神奈川県大和市)-新横浜間の所要時間は現状の約42分から約19分に短縮されるという。開業前の半分以下の所要時間で新幹線に乗れるようになるのだ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus