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“博物館級”のレトロさ 「昭和の急行形」東武350系、春以降も現役続行へ (2/3ページ)

設備も料金もリーズナブル

 「座席はリクライニングしません。車内の設備、席周りの充実度を考慮して(特急)料金をリーズナブルに設定しています」

 東武鉄道の担当者はこう明かす。350系が使用されているのは、土休日に2往復運転されている特急「きりふり」。東武のフラッグシップ、100系「スペーシア」のシートピッチ(座席の前後間隔)は1100ミリとJRのグリーン車並み。これに対し、350系の座席はリクライニングしない上、シートピッチも960ミリと狭い。

 350系が運用に就く「きりふり」は定期特急の「けごん」を補完する列車だが、設備面ではどうしても見劣りする。このため「リーズナブル」な価格に設定しているというのだ。浅草-東武日光間の特急料金は、スペーシアの「けごん」が土休日1470円(新型特急「リバティ」500系も同額)なのに対し、「きりふり」は1050円となっている。

 「きりふり」2往復のうち、終点の東武日光まで向かうのは1往復。下りは浅草午前10時38分発、東武日光午後0時39分着だ。上りは東武日光を午後2時に出発し、浅草に午後4時5分に到着する。往復とも「昭和レトロ」な350系を利用した場合、日光に滞在できる時間はあまりない。

 一方、残り1往復は、朝の上りが春日部午前9時16分発、浅草午前9時52分着。下りは浅草を夕方の午後4時39分に出発し、新栃木に午後5時58分に到着する。こちらは「土休日のお買い物に使えるライナー(列車)的な立ち位置」(東武鉄道)だという。埼玉県の東武線ユーザーにとっては使い勝手のよさそうな列車といえる。

 かつては南会津までの長距離運用も

 350系にはかつて兄弟分にあたる300系という車両が存在した。350系は4両編成だが、300系は6両編成だった。「きりふり」のほか「ゆのさと」や、臨時夜行列車の「スノーパル」「尾瀬夜行」にも充当され、スキー客やハイカーに親しまれたが、2017年4月に引退した。

 350系もかつては野岩鉄道や会津鉄道に乗り入れ、浅草から会津田島(福島県南会津町)まで直通する看板列車の任を担った。終点まで約190キロという私鉄の中では屈指の長距離列車として知られた。しかし、時代とともに活躍の場も減り、昨年4月には特急「しもつけ」(浅草-東武宇都宮間)の運行が終了。同時に350系の定期運行も終了した。以来、土休日のみに運転される「きりふり」や臨時列車でしか登板する機会はなく、平日は車両基地で“待機”している。

 東武鉄道によると、「しもつけ」は当初、昨年6月のダイヤ改正に伴い運行を終了する予定だったが、新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受け、同年4月25日から運休。前日の4月24日が事実上最後の定期運転となってしまった。昨年12月には「ありがとう白い特急350型『しもつけ』臨時列車ツアー」が開催されたが、なんとなく終焉が近づいているのではないかと不安になるファンもいるようだ。ネット上では350系の引退を危惧(きぐ)する声も散見された。

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