米CO2排出減 シェールガスより不況が効果 燃料変更の影響わずか

 

 米国が近年、温室効果ガスを削減できたのはシェールガス革命ではなく、単なる不況の結果だった?! 米国の研究チームが、こんな身も蓋もない調査結果を明らかにした。これまでもCO2の排出量は景気や経済活動の動きに、よりリンクしていると指摘が多かったが、今回、それが改めて証明された形となった。

 影響少ない燃料変更

 英BBC放送やフランス通信(AFP)などによると、この研究結果は米メリーランド大で気候変動問題やエコロジー経済学を教えるクラウス・フバーチェック教授らの研究チームが21日、英科学誌ネイチャーの姉妹誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表した。

 研究チームは1997~2013年の米でのCO2の排出量の動きを詳細に調査したところ、97~07年は排出量が増加していたが、07~13年は減少に転じていたことを確認した。

 さらに、この期間中の人口増加率や米国民の消費動向、商品やサービスを生み出すために使った労働力や原材料、使用した燃料の種類や消費量-といった経済活動とリンクする6項目の動向と照らし合わせた。

 その結果、97~07年に排出量が増えた要因の71%は好景気に後押しされた消費ブームの影響で企業の生産活動が旺盛になったためだった。一方、07~09年に排出量が減少した要因の83%はリーマン・ショック(08年9月)による消費低迷と米国経済の生産構造の変化が要因で、大量のCO2を排出する石炭のような化石燃料を減らすなど燃料構成の変化はわずか17%だった。 09~13年は景気回復期で、消費も人口も増加に転じていたため、排出量の減少率は1%に満たず、ほぼ横ばいだった。

 見直し迫られる政策

 米国では頁岩(けつがん、シェール)層から採取する天然ガスで、石油や石炭よりCO2の排出量が少ない「シェールガス」の供給量が07年以降、急増した。一方で、米国の電源別発電電力量のうち、CO2を大量に排出する石炭は12年時点で37%で、07年と比べるとほぼ半減していた。

 だが、今回の研究論文は「石炭をシェールガスに置き換えたことは、CO2の排出量削減という観点においては主要な役割を果たしていない」と断言。

 フバーチェック教授も論文で「生産性の向上やライフスタイルの変化といった(経済活動的)要因に焦点を当てるべきである」と結論付けている。

 米国は01年3月、京都議定書からの離脱を表明して以来、発電所からのCO2の排出量を07年までに90年レベルにまで削減することや、電力に占める再生可能エネルギー発電の比率を20年までに20%にするといった独自の取り組みを進めているが、現在も中国に次ぐ世界第2位のCO2排出国のまま。

 このため、オバマ政権は今後10年間でCO2をはじめとする温室効果ガスを05年の水準から26~28%削減する目標を立てている。しかし、今回の調査結果は、政策そのものの見直しを迫る内容だ。

 今年12月にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、各国が20年以降の新しい地球温暖化対策の枠組みへの合意をめざすが、CO2削減には、発想の転換が必要かもしれない。(SANKEI EXPRESS