オバマ大統領、新たな地球温暖化策…「遺産」上積み 米世論白熱

 

 「気候変動は、もはや次世代の問題ではない」-。米国のバラク・オバマ大統領(53)は、この固い決意を形にするため、大きな決断をした。地球温暖化を招く二酸化炭素(CO2)の排出量を、2030年までに05年比32%の削減を目指す規制案を取りまとめた。昨年打ち出した削減案から2ポイントの上積みだ。温暖化対策で世界をリードし、“オバマの遺産”にしたい考えのようだが、民主党との対決姿勢を鮮明にする共和党を中心に、早くも猛反発の嵐が巻き起こっている。

 「最大かつ最重要の一歩」

 オバマ大統領は、新たなCO2削減案を3日に発表する。これに先立ち、交流サイト、フェイスブックに投稿した動画で、米環境保護庁(EPA)のCO2規制最終案「クリーン・パワー・プラン」に言及、「この新たな規制案は、気候変動に対処するための過去最大かつ最も重要な一歩となるものである」と強調した。

 米ニューヨーク・タイムズ紙や米CNNテレビ(いずれも電子版)によると、32%のCO2削減を実現するため、具体的には各州ごとの削減目標を定めるほか、米国内にある数百カ所の火力発電所を閉鎖、新規火力発電所の建設は凍結する。一方で、太陽光や風力発電など再生可能エネルギーへの置き換えを進めていく、としている。

 EPAによると、昨年の米国内での発電は、石炭がトップで39%を占める。最終案では、30年にこれを27%にまで低下させる。逆に再生可能エネルギーは22%から28%に上昇させるという。

 オバマ大統領は残り2年の任期で温暖化対策を政権の最優先課題に掲げており、全国平均で20年までに25%減、30年までに30%減らす規制案を発表した。今回の最終案は、この案からさらに削減量を2ポイント上積みした形だ。背景には、20年以降の世界の温暖化対策の大枠を決める国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議(COP21)が12月にパリで開催される前に、温暖化対策で世界をリードしたい狙いがあると指摘する声も強い。

 共和候補と前哨戦の様相

 だが、難敵は国外ばかりでなく、国内にもたくさんいる。昨年6月段階で、規制案に反発していた共和党だ。なかでも16年の米大統領選で共和党から立候補したフロリダ州のマルコ・ルビオ上院議員(44)は、カリフォルニア州での会合で「何百万人もの米国人の電気代(1家族年平均85ドル=約1万500円)が上がる」と憤(ふん)慨(がい)。「(CO2排出量に上限を割り当て、過不足分の金銭取引を認める)キャップ・アンド・トレードでもうけているような富豪に影響はないが、フロリダ州のシングルマザーの電気代が月に30ドル(約3700円)も値上がれば致命的だ」と批判した。

 また、共和党上院院内総務のミッチ・マコーネル氏(73)は、各州にこの最終案を無視するよう提言。既に5つの州がこれに同調し、10以上の州が政府側を訴訟する姿勢をみせているという。

 他の共和党の議員らからも、この最終案実施のために数十億ドル(約数千億円)のコストがかかることから、米経済の停滞を招くとの批判も出ており、16年大統領選の前哨戦(ぜんしょうせん)の様相を呈している。

 CNNは、米エネルギー業界はこれまで数百万ドル(数億円)を投じて、温暖化は科学のまやかしだとキャンペーンを展開してきた。だが、世論調査ではほとんどの米国人が温暖化は現実問題と認識していると報じている。(SANKEI EXPRESS