GRU(露軍参謀本部諜報総局)が操った間諜に元大日本帝國陸軍大佐・佐田克彦がいる。佐田は25年「釣りに行く」と出たきり行方不明になる。妻(80)によると「2日後に帰ると、眉毛の上にケガをしていて『崖から落ちた』と言う。以来何かに脅え、暗くなると雨戸を閉めていた」。3カ月後、佐田は自宅で首を吊る。
佐田が手に入れたGHQ情報を、日本人共犯者が無線でソ連で打電していた。キャノン機関次席の延禎(70)は「駐ソ武官を務めたソ連通で、二重スパイに寝返らせようと接触していた」と証言した。
外務省職員・羽毛田実も逮捕前、自殺を図った=未遂。MVDより2年半で58万円を支給された羽毛田だったが、以下の事情で、さらに増額される。
《講和条約発効で代表部が閉鎖した場合、指令はラジオで行う。報告は暗号に組んで埋め、技師がソ連へ送信する》