【京都うまいものめぐり】
京都の繁華街、祇園と烏丸の間にありながら、町屋が並ぶ蛸薬師通に、串揚げ料理「洋燈館(らんぷかん) 楽珍(らくちん)」はある。その名の通り、静かな町並みに溶け込んだレトロなれんが造りのお店は、ステンドグラスがふんだんに使われ、いかにもランプの温かみが似合いそうだ。しっとりと落ち着いた店内も大人の雰囲気が漂う。厳しい古都の夏、店主自ら揚げてくれる串揚げをはふはふとほおばると、ビールがすすむこと請け合いだ。
豚ヒレ肉の軟らかさ
「舞妓さんがおちょぼ口で食べられるよう、全体に小ぶりに仕立てていますから、女性好みのはずですよ」と2代目店主の森信弘さん。
1本目は、定番の豚ヒレ肉をさっと揚げてお皿に。香ばしいパン粉の香りを堪能した後、そっとソースをくぐらせて一口。豚ヒレ肉の軟らかさに思わず舌鼓を打つ。また、夏の京都に欠かせない食材を使った「鱧(はも)の紫蘇巻き」は、歯触りと香りの絶妙な組み合わせに笑みがこぼれる。万願寺唐辛子を輪切りにして、刻み生姜と鶏ミンチを射込んだ(詰め込むこと)「万願寺唐辛子とピリ辛ミンチ詰め」も上品な一口サイズ。