焙煎度合い調整難題
ところが、このコーヒークロロゲン酸は、コーヒーに香りとコクを与えるのに欠かせない焙煎(ばいせん)の過程で大きく減少してしまう。このため一般的なコーヒーには豊富に含まれていない。また、焙煎度合いを深めると、雑味のもととなる酸化成分が増えるという難題にぶつかる。
コーヒー豆に含まれるほかの成分も焙煎度合いで三者三様に変化するため、最適な“黄金比率”を見つけ出すのに「相当な苦戦を強いられた」。実は、花王がコーヒー飲料を手がけるのはこのときが初めてで、大手飲料メーカーと比べてノウハウの蓄積もなく、開発チームは「上司も新入社員もゼロからの挑戦だった」という。
約10年もの試行錯誤を繰り返し、ようやく、独自製法を編み出した。「ナノトラップ製法」と名付けたもので、通常の約2.5倍のコーヒー豆を使用し、コーヒークロロゲン酸を一般コーヒーの約2倍に高める一方、雑味の原因となる酸化成分を約50分の1に低減する画期的な製法だ。