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井の頭線に揺られながら読書を夢見る 長塚圭史 (2/4ページ)

2013.10.12 18:00

  • 【続・灰色の記憶覚書(メモ)】演出家の長塚圭史さん(提供写真)

 適度に揺れる乗り物で読書をするのは良い。気持ちが悪いという人もあるだろうが、あまり気張らずに眺められるし、つまりいつ読みやめたとしても、それは内容が難しいからとかそういうことではなく、ただ揺られているので眠くなってとか、さすがに揺られすぎて読みづらく、とかそういった理由になるわけで、背筋を伸ばさないようなところが柔らかくて良いのだ。

 2週間程の公演期間中に開いた本は、福田恆存(つねあり)、柄谷行人(からたに・こうじん)、若桑みどり、三好十郎、ボルヘスなど雑多であり、始めから最後までしっかりと読みましょうという本もあれば、断片的に読み進めているようなもの、また一編の評論や短編だけを読むものなど様々である。ラテン・アメリカ文学の翻訳者である木村榮一氏の『翻訳に遊ぶ』という本があって、これは翻訳についての様々な苦労や葛藤、また多くの素晴らしい作家と出会っていった中での発見や閃(ひらめ)きなどが、涎(よだれ)が出てしまいそうな種々の引用と共に著されており、翻訳を目指す者の指南書となるだけでなく、翻訳物を読むという行為に対する視野も開け、これは目次通りにワクワクしながら読み進めた。

精読者への嫉妬もいつか…

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