そんな中、異彩を放つ人気の1匹がいるという。全国百貨店協会が主催する「ご当地キャラ総選挙2013」で優勝した千葉県船橋市の非公認キャラクター「ふなっしー」だ。非公認ということは、つまり地方自治体がつくったわけではなく、船橋界隈から自発的に出没した「ゆるキャラ」というのだろうか。船橋の特産である梨の妖精であるという「ふなっしー」。黄色い顔に水色の服を着た、ずんぐりむっくりのキャラクターなのだが、彼は色々な意味でこれまでの「ゆるキャラ」とは違った歩みをみせている。
緩くない「ゆるキャラ」
初見で僕がびっくりしたのは、その動きだ。とにかく俊敏すぎる。愛くるしいポーズや踊りとは無縁で、烈しくヘッドバンギングを繰り返し、驚くべき跳躍力でジャンプをする。多くの人はそれを気味悪がるが、それは少しずつ慣れてくるハイテンション。危害は加えられなさそうだとわかると、徐々にそれが可愛らしく見えてくるらしい。
もうひとつ「ふなっしー」の特徴として、しゃべるキャラクターだという点が挙げられる。『キティの涙』(4)でキティちゃんのデザイナー山口裕子がキティの口を描かないことによって、そのキャラクターが雄弁になったと語るのとは対照的に、「ふなっしー」は一人称で話すことによって、大きな魅力を獲得している。