兵庫県尼崎市非公認の「ちっちゃいおっさん」など、近年はいくらか話す「ゆるキャラ」が登場してきているが、すごい俊速で踊りながら、「ヒャッハー」と奇声を発する「ふなっしー」の特徴は、素で話すことだ。踊り終え、へたりこむと「あー、右腕が痙攣しそうなっしー」とぼやき笑いを誘う(語尾はすべて「~なっしー」)。彼が中途半端に船橋を紹介するDVD『ふなのみくす』(5)の「質問コーナー」では、最初に買ったCDが、ディープパープル『マシン・ヘッド』(7)だと告白し、尊敬する人は「山陰の麒麟児」の異名を持つ戦国武将の山中鹿介(山中幸盛)だと、のたまう。
さらに驚くことに、船橋散歩で疲れたふなっしーがジュースを飲むシーンが映像で収録されているのだが、背中のジッパーらしき部分から冷たい飲み物を注入(?)し、ごくごくと飲み干すところを敢えて映しているところも新鮮だ。いままでの着ぐるみタブーを完全に逸脱。そう、「ふなっしー」の場合は、中に人が入っていることをも想像させながら、きちんとキャラクターとして愛されているところが、今までなかった存在だといえる。