3カ月後の衆院選では3年余の民主党政権に有権者の不満のマグマが爆発し、不可抗力で第2次安倍政権が誕生した。7月の参院選も野党が勝手に転んでくれた不戦勝のようなものだった。そして東京五輪招致決定である。
経済効果は100兆円を超え、15万人の雇用を生むとも試算される。来年4月からの消費税率の8%への引き上げ決定の判断にも強い追い風になった。
「第1次安倍内閣が短命に終わったのは厄(やく)落としだった」。東京五輪決定に際しキッコーマンの茂木友三郎(もぎ・ゆうざぶろう)名誉会長はそう語ったが、首相は再登板後、これといった失敗もなく、ここまで来た。
1次政権での蹉跌(さてつ)が良薬になっているのは間違いないが、今の政治状況が首相をアシストしている点は見逃せない。野党に力はなく、自民党内に自身を脅かす敵もなし。「ねじれ」が解消した国会は自民党1強のうえ、党内も安倍首相の独り勝ちで「ダブル1強時代」の様相だ。「五輪を決めた首相」の政権基盤はさらに強固となった。首相周辺はささやく。