私の好きな『SIREN』ですと、攻略本とはまた別に、『サイレンマニアックス』という本が出版されています。これには、ゲームの攻略方法は一切書かれていません。攻略本ではなく『サイレン公式完全解析本』という扱いです。
これが実に読みごたえがあるのです。登場人物の詳細な設定とその紹介、各登場人物がこの日この時間どういう行動を取っていたか、という情報をひと目でわかるように整理した、膨大な情報量のタイムテーブル、ゲーム中に取得するアーカイブの解説、製作スタッフへのロングインタビュー、ゲーム内で使われた廃村写真の数々、ゲームストーリーに影響を与えた多くの参考文献、制作手法等々…。外伝小説が5本に、描き下ろしマンガまで収録されているという、驚異の充実っぷりです。
つまり、『サイレンマニアックス』は、『SIREN』というゲームを補完するものでありながら、前述のユーザーのニーズ(読み物としても楽しめる)に応えた、一冊のとても面白い本としても成り立っているのです。ファミコン黎明期には、おそらくこういった本の形態はなかったと思います。ゲームそのものの進化はもちろん、インターネットという情報網の発展にともない、ゲーム関連本も形を変えていった結果でしょう。