教訓生かされず
「これは山津波だ」
調査団とは別に現地入りした防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏(70)は土石流で押し流された神達地区を目の当たりにし、思わずつぶやいた。
山津波とは、津波のように押し寄せる大規模な土石流を意味するほか、地震などで斜面が崩壊して堰(せき)となり、止められた水や土砂が堰の決壊で一気に流れ落ちる現象を指す。山村氏が今回のケースに当てはめる山津波は前者だ。
島では1958(昭和33)年の狩野川台風で、沢の氾濫や土砂で元町地区の104棟が全半壊し、死者1人、行方不明者1人を出した。当時、この土石流を「山津波」と呼んで恐れたという。
86年の三原山噴火を契機に、火山灰の流出を防ぐ砂防ダムなどの建設を進め災害対策に力を入れてきたはずだったが、55年前の教訓は生かされなかった。川島理史(まさふみ)町長は「火山や地震、津波と比べ、(土砂災害への)取り組みが不十分だった」と認めている。
19日から降り始めた雨。土石流で地盤が緩み、二次災害の恐れもあるが、川島町長は「二次被害を絶対に起こさない」と強調した。(SANKEI EXPRESS)