「登場人物が極限まで少ない小説を書きたかった。そうなると向いているのは動物パニックものになりますが、ヒグマとかだといかにもでしょう。ハチというちっぽけな虫に、人間がおびえて逃げ惑うのが面白いかなと」
その根源にあるのは、ミステリーファンとしての思いだ。「僕の作品はどんどん厚くなってきちゃって、読者にしたら買うのに決心がいるでしょう(笑)。普段読書経験の少ない人は、威圧的に感じてしまうかもしれない。なので、今回は誰でも手軽に読んでもらえるようにと、東京-新大阪間の新幹線で読み切れるような厚さと価格にしてあります。大事なのは、自分が読みたいものを書くということ。読者の視点を忘れた作家は、生き残ることはできません」
警鐘鳴らさなければ
安斎を追い詰めることになるスズメバチ。実は人類にとってはかなりの難敵だ。「日本で一番人を殺している生物なんじゃないかなあ。年間20~30人ぐらいがスズメバチによって命を落としているんですが、その事実はあまり知られていない。もっと警鐘を鳴らさなければ、という気持ちもありました」