1匹倒しても、次から次に襲いかかるスズメバチ。シンプルながら予想がつかない展開は一気読み必至だ。「作家にとっては、一気読みしてもらうのが一番うれしい。短い時間で一気に読んでもらうと、細かい点まで心に残るんです」
裏に隠されていた謎
ハチとの戦いだけでなく、二重三重に張り巡らされた謎もまた、愉しい。「実はこれ、一回書いた後にもう一回書き直しているんです。最初はシンプルな構成だったんですが、なんとなく違和感があった。他人の小説のようにもう一回読み直してみて、表面のストーリーの裏に隠されていた謎に気づいたんです。ネタバレなので詳しいことは言えませんが、読み終わったあと、もう一回読んでほしい。『ああ、そうだったんだ』とふに落ちるような仕掛けを、いろんな所にしのばせていますから」。ちゃめっ気たっぷりに笑う表情は、一人のミステリーファンそのものだった。