安倍政権は6月に閣議決定した日本再興戦略で、20年には日本企業による海外でのインフラ受注額を現在の3倍にあたる約30兆円に引き上げる計画を盛り込んだ。首脳ら閣僚が先頭に立つ「トップセールス」も毎年10件以上行うとした。
官民連携が課題
ただ、インフラ輸出をめぐっては経験や実績の豊富な欧米に加え、新興国である中国や韓国も本腰を入れている。激しい受注合戦を勝ち抜くには、中韓勢に比べ不十分とされるコスト競争力の強化に加え、官民連携の充実が求められる。
日本総合研究所の石田直美シニアマネジャーは「従来のインフラ輸出は官がプランを描き、民間企業を呼び込むものだった」と指摘する。ただ、海外で日本の存在感を高めたい政府と、実利を優先する民間企業とでは、考え方の違いが生じることもある。相手国が本当に必要とするインフラの整備と、日本企業の海外市場開拓を両立させるためにも、「民間企業が主導し、それを官が後押しするという姿勢を明確にする必要がある」と石田氏は語る。