一方で、円安が逆風になっている企業もある。航空大手のANAホールディングスやスカイマークは、燃料費負担の増加で通期予想を下方修正。通貨安が進んだインドネシアで鉱山機械の需要が急落しているコマツも、売上高や最終利益予想の引き下げを余儀なくされた。
日興の太田佳代子クオンツアナリストは「上方修正する企業数は増えているが、円安の影響をどう受けるかなどで、通期業績の明暗が分かれている」と指摘している。
≪円安追い風 高まる賃上げ機運≫
好決算を発表した企業から、賃金の底上げにつながるベースアップ(ベア)に前向きな発言が相次いでいる。業績改善に加え、政府の賃金上げ要請に応える機運が高まっていることも背景にある。
「ボーナスではなく、月額の給与水準を上げることで、一般社員のモチベーション向上を図りたい」
日清食品ホールディングスの中川晋(なかがわ・すすむ)副社長は10月31日、ベアに言及した。新製品の袋麺の売れ行きが好調で、中間期の最終利益は37.7%増と大きく伸び、「増益分を賃金改善にという考えは持っている」と語った。