日立製作所の中村豊明副社長も、「個人消費が増えるようにと考えている。そういう意味での貢献ができればいい」と、ベアに前向きな姿勢を見せる。三菱自動車の益子修社長も、「前向きに考えたい」と、ベア検討を表明した。
ただ、ボーナスや退職金の増額にもつながるベアは、固定費の増加を招くため、慎重姿勢を崩さない企業も少なくない。
神戸製鋼所の川崎博也社長は「業績還元は一時金が大原則」とのスタンスを変えず、「競争相手は海外。その意味では固定費は上げたくない」との本音をのぞかせた。資生堂の前田新造会長兼社長も、「売り上げ増は為替(の円安傾向)が大きい。本格成長が確認できなければ」と語った。
ベアの動きが広がるには、不透明感が広がる海外の動向に加え、安倍晋三政権の成長戦略が着実に進むかどうかが、ポイントとなる。
業績回復を中小企業に広げることも課題だ。東京都大田区の従業員20人のアルミ加工メーカーの社長は、「中小企業の大半は、残業代で給料を調整している。景気が上向いているといわれるが、実感はない。ベアは極めて難しい」と話した。(SANKEI EXPRESS)