「露探提督=ロシアの諜者」と蔑称され、留守宅には石や屠腹(とふく)を勧告する短刀まで投げ込まれた。議会でも「無能」呼ばわりされた。だが上村は「女房は度胸が据わっているから」と、笑っていたという。蔚山沖海戦は敵討ちでもあったが、沈没に瀕(ひん)しながら砲撃を続けるリューリクの戦振(いくさぶ)りに、上村は「敵ながら天晴(あっぱ)れ」と感じ入り、630人近くを救出。「これでこそ日本武士」などと、内外の新聞は称(たた)えた。
海自で最大の艦
メディアの視線をくぎ付けにした点では、8月に進水した海上自衛隊で最大の艦となるヘリコプター搭載護衛艦《いずも》も《出雲》級だ。外国でも-
米ABCテレビとAFP=フランス通信社「日本が第二次世界大戦以来の巨大軍艦を進水」▽国際時事雑誌ザ・ディプロマット「“疑似空母”姿現す」▽カナダの軍事専門誌・漢和ディフェンスレビュー「米F35B(次世代)戦闘機搭載が可能/8機のF35Bは、24機の中国空母・遼寧の艦上戦闘機J(殲)15に対抗できる」
精査すると、不正確な報道もあるが、過剰反応した中国の“報道”は突出して酷(ひど)かった。