こうした事件は、習近平政権になってから急増する傾向にある。北京の人権派弁護士は、今回の事件も陳情者によるものである可能性が高いとみる。この弁護士によると、2012年まで続いた胡錦濤政権は、貧富の格差解消などを目指し「和諧(調和のとれた)社会」という政策スローガンを掲げ、政策的に弱者に対し一定の配慮を示した。
しかし、「中華民族の偉大なる復興」を目指す習政権になってから、政策が転換され、「和諧社会」が死語になりつつあり、陳情者への取り締まりが強化された。特に、陳情者の支援を長年行ってきた北京の大学講師の許志永氏や、投資家の王功権氏ら改革派知識人がこの夏に相次いで逮捕されたことが、陳情者たちに大きな衝撃を与えたという。
自宅を壊されたのに賠償金がもらえず、9年前から陳情を繰り返している四川省の男性は、産経新聞の電話取材に対し「今の政府は陳情者の弾圧しか考えていない。私たちは完全に追いつめられている。太原市のような事件はこれからも増えるのではないか」と話している。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS)