「いま、ここ」にある感覚を大切にする。他人と比較せず、自らの内側を見詰めて心や体と対話する。女性中心のヨガブームが拡大している。
無心に黙々と
飾り気のない簡素な部屋。照明が少し落とされた、がらんとした空間に聞こえるのは呼吸の音だけ。東京の繁華街、JR渋谷駅に近いビルの一室にあるヨガスタジオ。平日夜、外は光や音があふれて人、車が行き交うが、ここは全くの別世界だ。
行われているのは、アシュタンガ・ヨガのレッスン。欧米や日本で広がるヨガの一つで、決められた身体的ポーズを順番に展開するのが特徴だ。
この時間は、個人が自主練習をし、指導者が1人ずつチェックする「マイソール」と呼ばれるクラス。いくつものヨガスタジオを持つ「TOKYOYOGA」のディレクター、chama(本名・相沢護)さんが8人の受講生を指導している。「吸って」「吐いて」。chamaさんの声が時折響く中、受講生はそれぞれに黙々と取り組む。