全国のレストランなどで、食材の偽装表示が相次いでいる。世界に認められた美食の国としては、もちろんしっかりした表示をするに超したことはない。だが、味の違いがあまり分からない消費者としては、フルーツジュースと生搾りジュースの違いを見分ける自信はない。
「日本海の荒波にもまれて脂がのった」はずのブリが、実は養殖だったなどというニュースもあった。養殖ものなら、脂は脂でも違う脂が乗っていそうに思うのは私だけだろうか。消費者に「おいしそう」と思わせるには、さまざまな言葉のテクニックがあるのだな、と私の興味は日本語表現の豊かさの方に向いてしまう。
ホテルや百貨店の役員らが連日頭を下げているが、このままだと「おふくろの味」とうたっているのに、調理場にはおじさんしかいなかった、なんていう事態でも頭を下げかねない。
以前、あるフードジャーナリストがこんなことを言っていた。「東京は世界一の食の都。激しい競争に、開店から5年続く店は半分もない」