東京だけではない。地方でふらりと入った店にもハズレはほとんどない。それも、和食だけでなく世界中の料理がおいしいのだ。美食の都で知られるフランス・リヨンでもどこの店もおいしかったが、料理は全てフレンチだった。東京五輪を前に、世界中の料理がおいしいのは誇るべき日本の文化だ。
同時に、400円しない牛丼も弁当もおいしいことにも驚く。相次ぐ偽表示は、激しい飲食業界の競争に加え、安くておいしい料理に慣れすぎた消費者の側にも原因があるように思えてならない。
私には「生搾りジュース」と「100%ジュース」の違いを感じる舌はない。だが、例えば100円で出されたジュースに「生搾り」は期待しない。違いが分からない消費者は値段で判断するしかないのだ。
だからこそ私は、偽表示そのものより、偽表示された料理がいくらで提供されていたかが気になる。安い食材を高い食材と偽表示した上、高い料金を取られていたら、悪質だ。何より、見抜けなかった自分の舌が…悔しいではないか。(道丸摩耶/SANKEI EXPRESS)