今の感覚で捉え直してあらたな意味を持つ部分もあれば、あまりにも普遍的な事柄に胸を打たれもする。
…というふうにまとめようと思って選んだのだが、それよりも、小説にとっても「waste」は、欠くことのできない重要なテーマなのではないか、と、どの短編を読んでも思わずにはいられなかった。
≪時間の経過、容赦なさを感じ≫
歩いていて、時間の経過を感じる場所に出会うと足を止めてしまう。人の生活が積み重なった建物が好きだ。長い間に多くの人が歩いてきた道が好きだ。
人の意思・行為と時間や自然とがせめぎあい、そのバランス、関係が風景に表れている。改装の跡、工夫され取り付けられたパーツ、すべてを覆っていく植物の勢い、壁や屋根の傷み…。それらをじっくりと見るとき、人の存在の(不)確かさや時間の容赦のなさを、わたしは全身で感じる。(作家 柴崎友香/SANKEI EXPRESS)