「日本の賃金は、いつ頃から上昇するのか」。日興の阪上亮太チーフ株式ストラテジストが(11月)12日までの2週間、北米やアジアの投資家を訪問したところ、こうした質問が相次いだという。海外投資家も、日本経済が新しい段階に入るのかを注視している。
ただ、平均株価の最高値と円の最安値はいずれも5月でその後、相場の勢いは止まっている。特に、円安が一定水準に達したことで今後、為替差益による輸出企業の業績押し上げ効果は限定的になりそうだ。
アベノミクスに関しては、「即効性のある金融緩和が主導してきたが、時間のかかる成長戦略の実現が問われる段階に入った」(野村証券の田村浩道チーフ・ストラテジスト)との見方がある。
安倍政権が既得権益に鋭く切り込み、成長戦略でも投資家の期待に応えられるかが、今後の相場の動きを左右しそうだ。(高橋寛次/SANKEI EXPRESS)